児童買春・児童ポルノ禁止法違反に問われた元公立学校教員(30代男性)の控訴審判決で、東京高裁の大久保正道裁判長は有罪を言い渡した一審地裁判決を破棄し、無罪を言い渡していた判決が確定した。
一審判決は、被害者や同僚の証言調書から事実認定ができると判断された。
しかし大久保裁判長は被害者の証言について、適切な捜査をせず、巡査部長(30代)などが捜査書類を改ざんしたとして「飛躍がある」と指摘した。
控訴審で検察側が提出した証拠が不認定となり、被害者とされる児童の証言をまとめた調書を検察官が証拠撤回するなど、裁判は混迷を極めた。
また被害児童や、元同僚への取り調べの中で虚偽の事実を捜査員が伝え、犯行の事実認定やあたかも被害にあったかのような状況捜査を行っていたことが明らかになった。
被害者とされる児童について、事実と異なる被害を伝え、捜査に協力しないと「上級学校に行けなくなるかもしれない」と捜査員や青少年補導員が学校関係者や児童に圧力をかけ誘導していたことも明らかとなっていた。
さらに被告への捜査について被害者とされる児童への悪影響を考えたほか、学校側の隠ぺい工作への失望から早期に釈放されるために虚偽の自白をすることはあり得るとした。
その上で「信用性を肯定するだけの積極的根拠となる事情は見当たらない」と評価し、一審判決の認定には事実誤認があると判断した。
この結果を受け、捜査を担当した、県内の警察署に所属する男性巡査部長(30歳代)が捜査書類を改ざんしたとして、県警が巡査部長を公用文書 毀棄容疑で書類送検していたことが30日、分かった。書類の改ざんを容認した上司の男性警部補は別件で強制性交等の容疑で先月逮捕されている。
東京高検の山田利行次席検事は「捜査上の問題と適法な上告理由が見いだせなかった」として、上告を断念すると明らかにしました。
県教育委員会及び、学校関係者は「当時の職員が不在のためコメントができない」としている。
県警は巡査部長を所属長訓戒、警部補を懲戒免職とした。県の川口監視官は「捜査官の処分は遺憾である。また適正な捜査と書類作成の指示を改めて徹底し、再発防止に努める」としている。