「生理痛は我慢するものではない」…お父さんたちは“配慮する姿勢”を 「ピル」服用の子の受け止めは
「子どもの生理」についてオープンに語ったり、生理にまつわる体の不調と上手く付き合っていこうとする家庭が増えているといいます。多感な時期を迎える女の子たちに、親はどう向き合っていくべきか、取材しました。
「生理が来たら話す」(中学3年生) 「誰に話します?」(鈴木アナ) 「母親に話す」(中学3年生) 「お姉ちゃんと妹がいて、今、生理きてるとか、けっこう話しています。誰かに共有したら乗り越えようって頑張れる」(中学3年生) 「最初の頃は恥ずかしい、言えないみたいな感じだったけど、『今生理きたぁ!』みたいな感じで元気に言ったりすると、お母さんも『分かったよ、オッケー』みたいな感じになるから優しいなと思う」(11歳) 「生理」について、母親や姉妹とはオープンに話すという10代の女の子たち。
“あえてそっと” “妻に丸投げ” 生理について父親にも学んでほしい
家で生理やそれに伴う不調を父親と話すことはあります?
お父さんについては、どうなんでしょうか? 去年、10代~20代の女性に聞いたアンケートによりますと「生理や生理に伴う心身の不調などについて父親と話した事はありますか」の問いに、「ある」と答えた人は、約2割に留まりました。 「あえてそっとしておく感じ。そこの話題にはあまり触れないような感じ」(50代) 「妻に丸投げしちゃっている。いろいろ分からない所があるから母親の方が同性だから、分かりやすいこともあるだろうし」(30代) その半面「生理について父親に学んでほしいか」の問いには、半数近い女性が「そう思う」と答えています。 助産師をしながら、性教育などの出張講座を行っている、ほったかなさん。 「子どもの生理」について、お父さんには“特別視せずに配慮する姿勢”が求められていると言います。 「例えば足を怪我した娘さんに対して<足の負担が余りないように重たいから荷物を持とうか色々何かできることを考えますよね。それと同様に、生理だから、というわけではなくて、お腹が痛い人には、温かい飲み物をあげようかなとか、そういった声かけからまず始めていければいいと思う」(ほったさん) その上で、お父さんからお母さんに対する普段の態度も重要になってくるとか。 「まずは、お父さんが娘さんに安心できるなと感じてもらえる存在であること。生理に関して否定的な感情を持っていないとか、共感してくれる、協力的だなという風に娘さんが感じてくれること(が大事)。お父さんがお母さんに対して生理の時に、すごく協力的だったり優しい態度をとっていると、(娘も)目で見ていると(お父さんが安心できる存在だと)学んでいくと思う」(ほったさん)
幼少期から、お風呂やトイレと同じように伝える
お父さんを含めた家族の、子どもの生理との向き合い方。そのヒントが、こちらのご家庭にもありました。 「生理のときは色々おなか痛かったり、頭痛くなったり、機嫌もあまりよくなかったりして、自分でいっぱいいっぱいになっちゃうが、周りがそれを知っていて、そっとしといてもらったり、大丈夫?みたいな感じで心配してくれたりするのは、みんな優しいなって」(長女) 「機嫌が悪くて『なに!生理だから!』みたいに(後で)なるよりは、先に言って、そっとしててねと言うと、すっとなる。平和に」(母) お母さんは、娘さんが小さい頃から生理について隠さず、お風呂やトイレといった日常の中で伝えて来たと言います。
助けを求められたら手を差し伸べ 寄り添うことが一番
その結果...。 「私、生理きたからお風呂最後にするねとか、そういうコミュニケーションをとって、直接そのまま言っちゃいます」(長女) 「夫がいても全然しゃべり方は変わらなくて、夫も聞いてくることで、『そっか、生理なんだな』と、おちょくったりもしないので日常にそれがあり、なんならナプキンを買ってきてというのが、牛乳を買ってきてと同じノリである」(母) 他にも、家族旅行が自分の生理と重なりそうになったら、娘さんは自らお父さんに伝えて、行先や日程の変更をしてもらうそうなんです。 一方、お父さんは一定のスタンスを保っていきたいと話します。 「そっと見守るとか、そっと寄り添うというのが一番大事なのかなと思う。無理に声かけたりとか、無理に手伝おうとかいうふうではなく、向こうが自然に来てくれるのを、僕が受け止めて、それにそっと返すみたいな感じで対応しようと心がけています」(父) 助けを求められたらすぐに手を差し伸べられる距離で見守る。そんな気遣いが、求められているのかもしれません。
イベント盛りだくさん 大変な10代
一方、街では生理について“学生ならでは”の悩みも聞かれました。 「小6のときに修学旅行でちょうど(生理が)きて大変だった。けっこう重い方なので」(14歳) 「今年何年かぶりにプールの授業があって、入りたいなと思っていたらちょうど被った」(15歳) 「コロナでずっとなかったけど、久しぶりにあったと思ったら出られなかった」 修学旅行や受験に部活の大会など、イベントが目白押しの10代。
若い世代の“ピル”服用の増加 副作用の心配も...。
いま、生理とうまく付き合うための方法として「ピル」を選択する子が、増えているそうなんです。 「中学校の受験から飲む子もいますので、小学生でも飲んでる子はいますし、かなり数は増えてきます」(咲江レディスクリニック 丹羽咲江院長) こう話すのは「咲江(さきえ)レディスクリニック」の丹羽咲江院長です。「ピル」は女性ホルモンが入った薬で、卵巣を“冬眠状態”にして一時的に排卵を止めることができます。 一般的にイメージされる「避妊」以外にも、生理前の体調不良を和らげたり、生理をずらしたりする効果があります。 「生理痛がある子はだいたい生理前も体調が悪い。1ヵ月の間で10日以上、体調がすぐれない期間が長い人が、ピルを飲むと本当に快適に学校生活が送れるとか、勉強がはかどるとかメリットがたくさんある」(丹羽院長) しかし「ピル」未経験の親子からは、疑問や不安の声も。 「必要な人は必要なんだろうと思いますが副作用が出ないわけでもない」(母) 「ちょっと怖い」(中学2年生) 若い世代のピルの服用について、WHO=世界保健機関は、初潮を迎えていれば可能としています。
悪いイメージばかりじゃない 身体に合った“ピル”選定で最大限のメリット
また、丹羽院長は吐き気などの副作用について、ホルモン量が少ないピルに変えるなどして、身体に合ったものを選べば対応できると話しています。 費用の目安は1か月分で1000円~3000円ほど。生理痛の改善に使う場合などは保険が効くこともあります。 中学2年の時から、母親のすすめでピルを服用しているという20代の女性は、悩んでいた生理痛が大きく改善。 球技大会などの行事の時にもピルを服用し、生理日をずらしていたそうです。 「生理に振り回されなくていいというのが、何よりも私にとっては大きくて、ピルを飲んでからは、自分の生活の質が向上したのが何よりも大きかった」(20代の女性)
生理痛は我慢するものではない 正しく産婦人科の受診を
「子どもの生理との付き合い方、これからどんな風に向き合っていけば、どんな理解が広がっていけばいいなと思いますか」 「生理痛は我慢するものではないということは、多くの人に知ってほしい。痛み止めを飲んでもかなり痛いなら、とりあえず産婦人科に受診してほしい。産婦人科の診察もお母さんのイメージは、内診を伴うんじゃないかとか、痛い、恥ずかしい、怖いとか思っている方が多いかもしれないけど、性交経験のない若い女性にはベッドの上で、お腹の上からエコーの機械を当てて見るだけなので、気軽に来ていただけたらと思う」(丹羽院長)