東日本第一地域新聞 

(公式)東日本第一地域新聞社 運営ブログサイト

父親に幼いころからの性的虐待繰り返されPTSDに…」女性の訴え退ける 広島地裁

幼いころに父親から何度も性的虐待を受けたことが原因でPTSD=心的外傷後ストレス障害になったとして、広島市の40代の女性が、70代の父親に損害賠償を求めた裁判で、広島地裁は女性の訴えを退けました。

訴状などによりますと、女性は保育園に通っていたころから中学2年生まで父親から性的な行為を強要されたことが原因でPTSD=心的外傷後ストレス障害になったとして、父親におよそ3700万円の損害賠償を求めていました。 父親側はこれまでの裁判で、性的虐待について認めていますが、最後の行為から既に20年が過ぎていて、「損害賠償を請求する権利は消えている」などとして請求の棄却を求めていました。 被害を受けた当時の民法では、不法行為から20年が過ぎると損害賠償を請求する権利が消えると定めていました。 これに対して原告の女性は、父の行為を誰かに相談したら家族に迷惑をかけるとして、長年、誰にも相談ができなかったとしたほか、フラッシュバックなどに苦しむようになったのは2017年ごろ、PTSDと診断されたのは去年で、発症からは20年が経過していないと主張していました。 判決で広島地裁は、原告の女性は10代後半のころから精神的苦痛が生じていて、遅くとも2018年には除斥期間が経過していると指摘。そのため、損害賠償請求権は消滅しているとして原告の訴えを棄却しました。 判決後の会見では…。 原告の女性 「こんな被害を受けて訴えたのに負けるっていう判決が出ることが理解できない」 「(被害を受けたと)声を上げられるような社会にするには、今、声をあげないといけないし、メディアにも取り上げてほしい。矛盾しているけど、だからといって、取り上げられるのも怖い」 訴訟代理人の 寺西環江 弁護士は、「被害を受けてもすぐに相談をしづらい被害者の実状が裁判所にも十分に理解してもらえていない」として、控訴する意向を示しました。