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令状なしは「違法」 覚醒剤事件、大阪地裁が押収証拠採用せず

醒剤取締法違反(所持、使用)などの罪に問われた男性被告(49)の公判で、大阪地裁が覚醒剤などの証拠を採用しない決定をしたことが判明した。9月9日付。佐藤弘規裁判長は、被告が滞在していたホテルの一室に大阪府警の警察官が裁判所の令状なしに立ち入ったことについて、「プライバシーを大きく侵害する違法行為」と判断した。  決定によると、2021年8月、同府寝屋川市内のホテルに被告は滞在。被告に呼ばれて客室に入った女性が退室後、過呼吸状態に陥り、外で女性を待っていた同僚が119番した。救急隊員は「女性が注射を打たれた可能性がある」と聞いて薬物の使用を疑い、客室のドアを解錠するようホテルの従業員に要請。その後、駆け付けた警察官らは「部屋に入る」と声をかけて入室した。

被告は所持品検査や尿検査を拒否。警察官は捜索差し押さえ令状が出るまで約9時間、客室内にとどまったという。  

決定は、警察官がホテルの管理者や被告から入室の承諾を得ていないと判断し、「プライバシーを侵害してまで客室に立ち入るには捜索令状を得るなど法令上の根拠が必要」と指摘。

「令状主義を没却する重大な違法があった」として、入室後に出た令状に基づいて押収した薬物や、尿の鑑定書を証拠として採用しなかった。  

被告は別の事件でも同法違反(使用)の罪に問われている。検察側は合わせて懲役4年を求刑しており、判決は14日に言い渡される予定。