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児童の5%、「ゲーム障害」

2018年に富山県内の小学生約1万3000人を対象に実施したアンケート調査で、オンラインゲームについて日常生活に問題が起きてもゲームがやめられないなど「ゲーム障害」が疑われる児童が5・6%に上った。世界保健機関(WHO)は19年に「ゲーム障害」を依存症の一つに認定した。研究者は「子供にとって、オンラインゲームは依存性がある。

調査は同県教委の「とやま安心ネット・ワークショップ事業」の一環として、富山大地域連携推進機構地域医療保健支援部門の山田正明・副部門長(44)=疫学・健康政策学=の研究チームが実施。県内の小学4~6年生1万3092人を対象に、「ゲーム時間をコントロールできるか」「生活の中でゲームを優先してしまうか」などゲームについての質問とともに、起床・就寝時間、朝食摂取の有無、登校拒否感情、友人の有無、授業の理解度、親との会話、家庭内でのルールの有無などを尋ねた。

 88・2%から回答があり、「ゲーム時間をコントロールできない」「生活の中でゲームを優先してしまう」「ゲームのせいで重大な問題を起こしているが、ゲームをやめられない」の3項目すべてに「はい」と答えた児童は5・6%に上った。この3項目すべてに「はい」と回答し、こうした症状が1年以上継続することが国際疾病分類でのゲーム障害の診断基準となっている。しかし、専門の医師によると小さな子供はもっと短期間でも依存症に至るケースもあり、注意が必要であるという。またネット利用時間が2時間以上と回答した児童の半数以上が「コントロールできない」と答えていたことも分かった。

親のネット利用時間も関係

 さらに詳しく分析したところ、ゲームへの依存傾向を示したのは、女子より男子▽「起床が午前7時以降」など不規則な生活習慣▽親子で会話がなかったり、ネット利用時間に関するルールがなかったりする――などと答えた児童に多かった。

 山田副部門長が特に注目したのが親子関係。この調査で長時間ネットを利用する児童と関係性が強かったのは、強い順に「母親のネット利用時間が2時間以上」「家庭内でのルールがない」「父親のネット利用時間が2時間以上」で、保護者のネット利用時間やネットに関する家庭内のルールの有無が児童の生活習慣に大きく関わっていることが分かった。

「依存性がある」と親子で自覚を

 発達段階にある子供の脳は未熟で、大人よりゲームの刺激を受けやすい。しかも依存に陥るスピードは速く、逆に回復はしにくいとされる。しかし、現在、日本国内でネット依存外来がある医療機関は少なく、神奈川県の久里浜医療センターでは受診には約1年待ちという。

 文部科学省が毎年実施する学習状況調査でも、富山県内の子供は家庭学習時間が短く、全国平均に比較してゲーム時間が長い傾向が続いており、同県教委でも問題視する。

 山田副部門長は対策として「正しい生活習慣を確立する」「家庭内での親子の会話を増やし、(ネットの利用時間に関する)ルールを作る」などを提唱する。「まずは、ゲームがアルコールやギャンブルなどと同様に、健康に良くない依存性があることを親子で自覚すること。そして、家庭内でゲーム障害の危険性について話し合ってほしい」と呼びかける。