小学校の採用倍率、1倍台が続出、全国平均は過去最低更新…教師人気は回復できるのか?
3倍を切るだけで危機的状況なのに…
教員採用試験を巡っては、倍率が3倍を切ると優秀な人材が確保できなくなる、というのが採用担当者の経験則です。しかし小学校は全国平均で2019年度に2.8倍となってからも過去最低を更新し続け、2022年度は2.5倍という危機的状況です。 現在、第2次ベビーブームに対応して大量採用された世代の教師が大量退職して、その穴を埋めるために、教員を大量採用しなければならなくなっています。そんな中、学校現場の「ブラック職場」化が知られるようになり、ますます教職志望者は減っていきます。国立の教員養成大学・学部ですら平均教員就職率は65.2%にとどまり、関係者によると優秀な学生ほど「自分には務まらない」と民間企業に流れるようになっているといいます。 教職志望者の減少は、多くの学校現場で深刻化している「教師不足」の遠因にもなっています。もともと学校では産休や病気休職者の代替のため、一定数の非常勤講師を確保しておく必要があり、それを採用試験に落ちた「教職浪人」に頼ってきました。そんな人たちも正規採用されたり、常勤講師となったりしているため、代替要員が枯渇しているわけです。 一方で、授業では「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実が求められており、教える側にも変革が迫られています。そこで中教審は、教師に「新たな学びの姿」を求めて資質能力の高度化を図る一方、多様な人材も取り込みながら安定的に採用数を確保する方策を探るという、困難な課題を抱えました。