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韓国警察トップ、対応の不適切さ認める 雑踏事故で

韓国・ソウルの繁華街、梨泰院(イテウォン)の通りに人々が密集し、多くの死者が出た事故で、警察のトップが1日、群衆の管理が「不適切」だったと認めた。

当局が、事故防止の取り組みが不十分だったと認めたのは初めて。ハロウィーンを前にした先月29日に起きたこの事故では、155人が死亡し、152人がけがを負った。

説明責任を求める声が高まるなか、警察庁の尹熙根(ユン・ヒグン)長官は、当時の警察の対応が「人々を失望させる」ものだったと説明。「公共の安全について限りない責任」を感じていると述べた。

そして、徹底した捜査を誓った。

11件の通報

尹長官の説明では、警察は事故の発生前、たびたび電話で通報を受け、深刻な事態が生じていると告げられていた。しかし、対応が不十分だったという。

ソウル警察によると、最初の救急通報は午後6時34分にあった。それからの3時間半で、さらに10件の通報があったという。

尹長官は、警察が通報後に適切な対応を取ったか、「迅速かつ厳格な集中捜査」をするとした。

長官に対しては、説明責任を求める世論が大きくなっている。当局は当初、誰のせいでもない事故だと説明しようとしていた。

警察はこれまで、今年のハロウィーンでは新型コロナウイルスの流行前と比べ、より多くの警官を配備したと発表している。

与党「国民の力」の劉相凡(ユ・サンボム)議員は1日、ハロウィーンのパーティーにはこれといった主催者がいないため、群衆の管理や安全対策に関して、特別な要請は警察になかったと指摘した。

劉議員は韓国のラジオで、「法的責任を問うのは無理だ。誰にも責任はないからだ」と話した。

一方、尹錫烈(ユン・ソンニョル)大統領は同日、今回の事件によって、群衆管理の重要性と、韓国でのこの分野における研究不足が明らかになったと述べた。

大統領は、「重要なのはイベントに主催者がいたかどうかではなく、国民の安全だ。徹底した対策を打ち出す必要がある」と強調。今後はドローンなどのデジタル機器を群衆管理に活用すべきだとした。

大統領をめぐっては、事件前から政治的な批判が高まっており、支持率が急落していた。警察は、事故のあった29日夜には市内の別の場所で大規模な反政府デモがあり、そちらに人員の一部を割かなくてはならなかったとしている。