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部活顧問の暴力で顎が外れた女子生徒が語った不信感 学校に通えなくなり退学、うつ症状も

兵庫県姫路市の姫路女学院高校ソフトボール部で明らかになった男性顧問=10月12日付で懲戒解雇=による暴力行為で、顔をたたかれ顎が外れるなどの大けがを負った1年生の女子生徒(16)が2日、神戸新聞社の取材に応じた。代理人弁護士と保護者が同席した。生徒は学校に通えなくなり、退学した。学校への不信感なども重なり、医師から急性ストレス反応うつ状態と診断された。

■「謝り続けるしか方法が見つからなかった」

 女子生徒は9月24日、大会にユニホームを忘れたという理由で男性顧問に顔をたたかれた。その後、顎が外れた状態で5時間以上、顧問のそばに立っていた。  「先生に近づいても練習をしようとしても怒られて、何をしていいか分かりませんでした。グラウンドにも入れてもらえませんでした。その時は許してもらうために、謝り続けるしか方法が見つかりませんでした」  「女性コーチもいましたが、『諦めずに声をかけ続けるしかない』と言われました」  女子生徒は今年4月、ソフトボール部の特待生として入学していた。同部は学校の強化指定クラブになっている。  「それまでもたたかれたり、他の子との対応に差があったりしていました。その日にたたかれたことで吹っ切れました。ああ、この人とこのチームで続けても、自分がしたいソフトボールはできないと思いました。その日のうちに、翌日の大会に出場した後、退部することを決めました」  だが、翌日も顧問は女子生徒の尻を蹴ったり、頭をたたいたりし、暴言を吐いた。精神的ショックが大きく、学校に通えない状態が続いた。  「戻ってもまた同じようなことになると思いました。コーチとも話はしていて、味方になってくれるって言っていたけどもう信用もできませんでした」  

■突然の会見「全然寄り添ってくれてなかった」  

姫路女学院高校は顧問による暴力行為が明らかになった後の10月3日、会見を開いた。同校を運営する学校法人「摺河(するが)学園」の摺河祐彦(まさひこ)理事長らが出席した。  「会見が開かれることは、私も母親も聞かされていませんでした。なので、すごく驚きました。テレビでニュースを見たら、全然、寄り添ってくれている内容ではなかったです。どこか逃げているような、顧問の先生を守っているような。そんな言葉が多かったように思いました」  会見で学校側は、顧問から聞いた話では、暴行した理由として過去にも忘れ物があったなどと説明した。  「私は、それ以前の忘れ物は、ユニフォームの色を間違えた1回だけでした。でも、これまでも何度も忘れているように話されていました。記者会見を見て、そういう言われ方をしているのを知って『もう、戻りたくない』って思いました」  「ただあの日、私が忘れ物さえしなければ、こんなことにならなかったのではと考えてしまいます。すごく大切な大会だったので、なんで忘れてしまったのかなって思います」  

■「担任が家に来た日、今までにない痛みをおなかに感じた」  

女子生徒は学校側の会見後、精神的なショックから体に不調を感じ始めたという。  「先生のことを思い出すと、体調が悪くなるようになりました。母が運転する車の助手席から、先生が毎朝あいさつしていた校門や授業をしていたパソコン室、部活の練習があったグラウンドを見ただけで、いろいろ思い出して気分が悪くなってしまいました。担任の先生とコーチが自宅に来てくれた日にも、今までにない痛みをおなかに感じ、病院に行きました」  

10月下旬、女子生徒は病院で、『急性ストレス反応』『うつ状態』と診断された。顧問による暴行の発覚後、学校とはほとんどやりとりがなかったという。  「先生に直接の謝罪を求めているわけじゃないんです。もう忘れたいし、思い出したくもないことなので。ただ、私に戻ってきてほしいと本当に思っているのなら、学校にはもう少し寄り添った対応をしてほしかったです」