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山口知事「正直驚いている」 センチュリー購入「違法」判決に

山口県が貴賓車としてトヨタの最高級車「センチュリー」を購入したのは裁量権を逸脱した違法な支出だとして、元県職員の松林俊治さん(75)が県を相手取り、村岡嗣政(つぐまさ)知事に購入費2090万円を請求するよう求めた住民訴訟の判決で、山口地裁(山口格之<のりゆき>裁判長)は2日、全額を知事に請求するよう県に命じた。判決は「購入は裁量権を逸脱、乱用した違法行為で、知事は指揮監督上の義務に違反した過失がある」と判断した。

原告側によると、公用車の購入を巡る支出を違法とし、自治体の長に賠償を求める判決は異例。  判決によると、県は2019年当時、センチュリー3台を保有。議長用と副議長用、皇族らが来県した時に使う貴賓車が各1台だったが、これを2台に削減することを計画。3台のうち2台を処分し、新たに新車のセンチュリー1台を貴賓車用として20年8月に購入した。処分した2台のうち1台は県が定めた更新基準(走行距離など)を満たしていなかった。  訴訟では、センチュリー購入の妥当性と知事の責任が争点となった。  判決は「更新基準を満たさない車両を処分してまで新たに購入すべき目的や高い必要性があったとは言いがたい」と指摘。県の公用車にはセンチュリー以外の車種もあることから「県が考慮したとする貴賓車としての品格などが他の車種で賄えないことが明らかとは言えない」とし、「あまりにも検討が不十分で、財務会計上の違法行為だった」と断じた。  また、村岡知事の認識について「担当課の検討状況を詳細に知らなかった可能性がある」としたうえで、「センチュリーの購入は備品に関する経費の支出にとどまらず、県政運営にも関わる重要な事項で、村岡知事は担当課と適宜、協議すべきだった。指揮監督上の過失がある」と責任を認定した。  村岡知事は判決後、報道陣の取材に「判決には正直驚いている。(控訴するかは)判決の中身をよく精査し、弁護士とも相談した上で検討したい」と述べるにとどめた。